Google Workspace Flowsをオススメしたい3つの理由
Google Workspaceに新たに加わったノーコード自動化ツール「Google Workspace Flows」は、毎日のように繰り返される報告書の作成、メールの整理、議事録の作成等々…日常業務の「面倒な繰り返し」を、まるで優秀なアシスタントのように代行してくれます。

残念ながら、Workspace Flowsはまだα版のサービスであるため、あまり知名度は高くありません。私はGoogle Workspace Flowsが本当に意味でのノーコードツールになると考えており、ぜひこのツールの魅力を知っていただきたいと考えています。というわけで、今回は「Google Workspace Flowsをオススメしたい3つの理由」を解説していきます。
Workspace Flowsをオススメしたい3つの理由
理由(1) ノーコードで誰でも高度な自動化を実現できる
Workspace Flowsが持つ最も大きな価値の一つは、専門知識が不要であるという点です。従来の自動化ツールでは、プログラミングスキルや複雑な設定が必要な場合がありましたが、Workspace Flowsはビジネスユーザー自身が自動化を構築できるノーコード環境を提供します。これにより、自動化の担い手はIT部門や特定の専門家に限らず、現場の業務を最も理解している人々も対象になります。
そして、自動化を実現するためのアプローチとして、Workspace Flowsには主に3つの簡単な方法が用意されています。
① 自然言語で作成するアプローチ
ユーザーは、AIに対して、実行したいタスクを日常の言葉で指示するだけで、フローのたたき台を自動生成させることができます。例えば、「マネージャーからメールが来たらチャットに通知」といった簡単な指示だけで、AIがフローを自動で構築してくれます。アウトプットの精度はプロンプトの内容次第ですが、可能な限り自動生成が進められ、有効化の一歩手前まで作成されます。

② テンプレートを活用するアプローチ
Workspace Flowsでは、よくある定型業務の雛形が豊富に用意されています。Googleが用意する最適なテンプレートを選択し、それをベースに自分自身が実現したいフローを構築・調整することが可能です。テンプレートの例としては、「毎日のニュース要約をメールで受け取る」「未読メールの毎日要約を取得する」「チャットスペースの投稿からAsanaタスクを作成する」などがあり、すぐに自動化を始められます。

③ ビジュアルに構築するアプローチ
手動でゼロからフローを作成する場合も、要件に従って「Starter(いつ、何をきっかけに実行するか)」と「Action(何をするか)」を設定するだけで済みます。Workspace Flowsは、トリガーやアクションのブロックを組み合わせるだけで、直感的にフローを編集・拡張できるビジュアル構造を持っています。
このノーコードによる直感的な自動化体験は、これまで以上にノーコーダーの活躍の場を広げます。特に、言語化能力(プロンプト能力)が高い人材の活躍の幅が広がると考えています。

理由(2) Geminiを自動プロセスに組み込むことができる
Workspace Flowsが従来の自動化ツールと一線を画す決定的な要素は、Geminiという強力なAIがプロセスに介入する点です。これにより、Workspace Flowsは従来の「ルールベース自動化」(もしAならばBを実行、という静的なルール)ではなく、AIが自律的にタスクを遂行する「エージェント型ワークフロー」として機能します。

Workspace Flowsの強みとして挙げられるGeminiの能力は、単なるデータ移動ではなく、メールや文書の意図を汲み取り、高度な判断を実行できることです。
今まで以上に知的な作業を自動化できる
Workspace Flowsは、コンテキストを理解し、自律的に判断・実行を行います。これにより、人間の指示を待つ受動的な実行や、単なるデータ移動を中心とした単純作業に留まらず、情報調査、分析、コンテンツ生成といった知的作業をAIに委任することが可能になります。
Geminiがプロセスに介入することで、これまで人間による判断や分析が必要だったプロセスについてもAIによる自動化が可能になり、自動化可能な範囲がこれまで以上に広がります。
Geminiを活用する主要な機能
Workspace FlowsのActionステップには、以下のようなGeminiを活用した強力な機能が組み込まれています。
Gemini機能 | 概要 | 活用できること |
Ask Gemini | シンプルな質問やテキスト作成 | 要約から返信メールの作成まで、あらゆる目的のテキストを生成。Workspace内のデータ(メール、チャット、ドライブファイル、カレンダー情報)を活用可能。 |
Ask a Gem | 独自のGem(AIエージェント)に質問 | メール本文の要約、下書き、テキストの解析・分析・加工。前のステップのコンテキスト情報を取得し、生成されたテキストは後続ステップで利用可能。 |
Recap unread emails | 未読メールの要約 | Gmailの未読メールを指定期間(今日、過去7日、過去30日など)で要約。要約のためのプロンプト指定も可能。 |
Extract | データ抽出 | テキストデータやURL、前のステップのデータから、定義済みのコンテンツ(電話番号、メールアドレス、Webアドレス、質問への回答など)や、自由に定義可能なカスタムコンテンツを抽出。 |
Decide | 条件の真偽を判断 | 分析した結果がTrueかFalseかを判断するためのプロンプトを入力。これをもとに、後続のステップで自動的に条件分岐(Check ifステップ)が設定される。 |
Summarize | コンテンツの要約 | メール、ドキュメント、スプレッドシート、会議メモなど、多様なコンテンツを要約できる。 |
これらの機能を組み合わせることで、例えば「顧客からの問い合わせ(Starter)」に対し、「Gemini: Decide」で怒っているかどうかを判断し(Decide)、「Gemini: Ask Gemini」で謝罪メールの草案を作成し(Action)、最後に「Gmail」でメールを送信する(Action)といった、複雑な判断を含むフローも構築できます。
理由(3) GWS環境での安全な動作と多様な外部サービスとの連携
3つ目の大きな理由は、Workspace FlowsがGoogle Workspace環境内で動作することです。
既存のセキュリティとガバナンスへの適合
Workspace Flowsは、利用者がすでにGoogle Workspaceで構築している既存のセキュリティ・ガバナンスの枠組み内で安全に動作します。これは、セキュリティがネイティブに組み込まれていることを意味し、特にGoogleエコシステムへの依存度が高いビジネスユーザーにとって大きな安心材料となります。競合サービスと比較した場合の主要な差別化要因として、Geminiと社内データのフル活用が挙げられており、安全な環境下で組織内の情報を最大限に活用できます。
Googleツール群を横断する連携
Workspace Flowsは、業務効率化ツールとして、Google Workspace内のアプリを横断して自動化フローを簡単に作ることができます。アクションとして設定可能なGoogleツールには、メールの送信・下書き作成、ラベルの追加/削除、既読処理、スペースへの投稿、スプレッドシートへの行追加、ドキュメント作成など、多岐にわたります。これにより、例えばメールの受信をきっかけにスプレッドシートに情報を記録し、同時にChatスペースに通知を送るといった一連の動作が簡単に自動化されます。
外部ツールとの連携
さらに、Workspace FlowsはGoogle以外のツールとも接続できる点が魅力です。Actionsとして利用可能な外部サービスとして、Salesforce、Asana、Mailchimp、Jira、Slackなどが具体的に挙げられています。この広範な連携能力により、企業が利用する多様なSaaSツールを股にかけた複雑な業務プロセスも、Workspace Flows一つで統合し、自動化することが可能になります。
※ Workspace Flowsと連携可能なサービスの詳細についてはコチラの記事をご参考ください。

まとめ
Google Workspace Flowsを導入することで、ユーザーは時間を要する定型業務から解放され、より創造的で付加価値の高い業務に集中できるようになります。
今回説明した「Workspace Flowsをオススメしたい3つの理由」に興味を持った方は、是非Workspace Flowsを学習してみてください。Workspace FlowsはGASやAppSheetといったノーコード・ローコードツールより敷居が低く、あなた自身の業務スキルや市場価値をさらに向上させてくれる可能性があります。
現時点ではまだ正式リリースが未定で、日本語にも対応していない開発途上のサービスですが、Workspace Flowsは大きな可能性を秘めたツールであると考えています。