Deep Research が Google Workspace でも利用可能に

2025年2月21日、Google はAIツール「Deep Research」を Google Workspace の Business Standard、Business Plus 、Enterprise Standard 、Enterprise Plus のプランに提供することを発表しました。これにより、Google Workspace のユーザーも 業界分析や競合調査、顧客リサーチがより高度かつ迅速に行えるようになります。

※ Deep Research は Gemini Advanced と契約するユーザーが利用可能な機能です。 Gemini Advanced について詳しく知りたい場合はコチラをご参考ください。

Deep Research とは

Deep Research は、AIを活用して複雑なトピックをリサーチし、包括的で分かりやすいレポートで調査結果をまとめる機能です。オンラインでのリサーチは多くの時間と労力を必要としますが、Deep Research はユーザーの指示に基づいて煩雑なリサーチ作業を代わりに行い、数時間かかっていた調査をわずか数分で完了させることができます。

Deep Research は日本語にも対応している

Deep Research は既に日本語にも対応しています。コンシューマー向けの Google One AI プレミアムだけでなく、 Google Workspace 向けの Gemini Advanced でも日本語を使って、 Deep Research を操作することができます。

Deep Research は無料でも利用可能?

無料の Google アカウントで試しに Gemini にアクセスしてみましたが、 Deep Research は利用することができませんでした。利用したい場合は、有償の Gemini Advanced にアップグレードが必要なようです。

Deep Research の料金は?

Google Workspace として、 Deep Research を利用したい場合は、 Google Workspace の Business Standard 以上の契約が必要になります。コンシューマー向けとして、個人で開始したい場合は、月額¥2,900がかかります(初月は無料)。

Deep Research が利用可能な Google Workspace エディション

既に記事の出だし部分で書いてしまいましたが、 Deep Research は Google Workspace の以下エディションで利用可能な機能になります。

  • Business Standard
  • Business Plus
  • Enterprise Standard
  • Enterprise Plus

Deep Research の仕組み

ユーザーがプロンプトを入力すると、複数段階からなるリサーチプランが作成され、必要に応じて修正したり、そのまま承認することができます。承認後には、ウェブ全体から関連情報を収集し、詳細な分析を開始します。

Deep Research は、数分間でインターネット上の情報を検索し、興味深い情報を見つけ、そこから得られた知見をもとに新たな検索を始めるというプロセスを繰り返します。そして、このプロセスを何度か繰り返した後、主要な調査結果を元に包括的なレポートを生成します。また、このレポートは、Googleドキュメントにエクスポートすることも可能です。レポートはソース元のリンク付きで整理されているため、通常は見つけることが難しいであろう関連ウェブサイトや企業、団体などにも容易にアクセスでき、さらに深く掘り下げて学ぶことができます。Geminiにフォローアップの質問がある場合やレポートを改善したい場合は、続けて質問するだけで対応できます。

Deep Research は、ウェブ上の関連情報検索における Google の専門知識を活用し、Gemini のウェブブラウジングと調査指示をする新しいエージェントシステムを構築しました。これに Gemini モデルの高度な推論機能と100万トークンのコンテキストウィンドウを組み合わせることで、有用で分かりやすいインサイトに富んだ包括的なレポートが生成できます。

Deep Research はAPIが提供されている?

残念ながら、Deep Research に特化したAPIは提供されていません。最新の Gemini 2.0 Flash や Imagen 3 、 Gemini 1.5 Pro 等はAPIとして公開されていますので、そちらを利用して、独自のアプリケーションを構築することができます。APIについて詳しく知りたい場合は、コチラをご参考ください。

Deep Research は情報分析の手間・工数を大幅に削減する

調査を徹底的に行うには、計画の立案から情報検索、データの精査、分析、そしてレポート作成まで、膨大な時間と労力が必要です。どこから手をつければよいか迷うことも少なくありません。Deep Research は、こうした面倒なプロセスを代行し、Web上の情報をリアルタイムで収集・解析。わずか数分で包括的な調査レポートを提供することで、長時間の作業を劇的に短縮し、必要な情報をすぐに把握できるようにします。

Google Workspaceでの活用例

Google は Deep Research の活用例として、 以下のような例を挙げています( Google Workspace Update Blog より引用)。

用途ユースケース
業界分析持続可能なバッテリー技術などの業界の新たなトレンドを理解し、クリーン テクノロジーの市場分析に役立てることができる。
競合分析地元の競合企業の分析結果を迅速に収集し、中小企業を設立するのに適した場所を推奨することができる。
顧客リサーチ製品やサービス、経営陣、競争環境に関するレポートを作成することで、営業担当者が見込み顧客との面会に備えるのに役立てることができる。
教育・学術分野何百もの関連記事や Web サイトを分析して、ほぼあらゆるトピックに関するレポートを作成することで、助成金申請書の作成、授業計画、クラス プロジェクト、プレゼンテーションを行う教育者を支援することができる。

このように、Deep Research を活用することで、企業は市場の変化に即応する力を強化することができます。

Gemini Advanced で複数のモデルが利用可能に!!

Google は Gemini Advanced のプランにおいて、 Deep Research だけでなく、用途に応じて異なるAIモデルを選択できるようにしました。この仕組みにより、企業は自社のニーズに最適なAIモデルを活用できます。現在、 Google Workspace ユーザーも Gemini Advanced の適用範囲に含まれているため、この恩恵を受けることができます。

具体的には、1.5 Proを用いたDeep Researchのほか、2.0 Pro Experimental や 2.0 Flash Thinking Experimentalといった新たな選択肢が加わりました。これにより、単なるデータ分析にとどまらず、複雑なプロジェクト計画や多段階推論を要する業務にもAIを活用できる可能性が広がります。例えば、長期的な市場分析や経営戦略の策定など、高度な意思決定を支援する用途での利用が考えられます。

まとめ

本機能の公開は、ユーザーの役に立つパーソナルAIアシスタントを開発するという目標に向けた大きな前進です。 Gemini の性能が向上するにつれて、ユーザーに代わってより多くの作業をこなせるようになる、よりエージェント的に進化させるための重要な一歩でもあります。

一方で、AIによる情報収集には課題もあります。AIが生成するレポートの正確性や信頼性をどのように担保するかが重要な課題となります。Google は、Deep Research が参照するデータの精度向上に取り組むと考えられますが、最終的な判断を下すのは人間です。AIの活用によって得られる情報をどのように活かすかが、今後の企業経営において重要なポイントとなるでしょう。

Google Workspace で Deep Research が利用できるようになった事実は、企業の情報活用のあり方を大きく変える可能性を秘めています。高度なAIを活用することで、より迅速かつ正確な情報収集が可能となり、企業の競争力強化に貢献することが期待されます。

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